「ネイティブに通じる英語」は幻想

「ネイティブに通じる英語」は幻想 

 

よく 「 ネイティブに通じる英語 」 という言い方がされますが、これは おかしなことだと思います。なぜなら 「 ネイティブに通じない英語」 と いうのはありえないからです。もっと正確に言いますと「ノンネイティ ブには通じてもネイティブには通じない英語はない」ということです。 わかりやすくするためにこのノンネイティブを日本人としましょう。 日本人には通じた英語がネイティブには通じなかった、というのは一 部の例外を除いてありえない話だと思います。 この例外と言うのは和製英語で例えば「彼はイケメンだ」などと英語 でやっても通じるわけはありません。この和製英語の弊害については別 のブログで記します。 さて、この「通じる」 「通じない」 という言葉の意味をきちんと考えてみましょう。これはこちらの話す英語を日本人は理解したが、ネイティ ブは理解できなかった、という意味です。こういうことがありうるので しょうか? 私はないと思います。なぜなら、リスニング能力はネイティブのほう が優れているからです。こちらの話す英語を相手が理解できる、という のは相手からすると、「聞いて理解できる」 ということになるはずです。 日本人には 「 聞いて理解 」 できたがネイティブには出来なかったとい うのであれば、日本人の 「 聞いて理解する 」 能力のほうがネイティブよ りも高いということになりますが、そういうことは絶対にありえないこ とです。前の項で逆の立場で考えると言いました。そうしてみましょう。 例えば、私とアメリカ人A,アメリカ人Bがいたとします。この三人 で日本語で会話をしているとします。アメリカ人Aの話すあまり上手で ない日本語を私は聞いてわからないが、アメリカ人Bは聞いて理解して いるということはありえるのでしょうか? 実際にやったことがないので、断定はできませんが、そういうことは ないはずです。これはリスニングの問題です。 日本人である私の日本語に対するリスニング能力が、外国人であるア メリカ人Bのそれより劣るとは思えないのです。テレビなどで外国人が 大勢集まって日本人司会者 (例えば、さんまさんとか) とやりとりをす るのを見たことがあるでしょう。 人によってはかなり変な日本語 (失礼 )の人もいますが、司会者もそ して視聴者もきちんと理解できているはずです。日本語のネイティブで ある我々日本人の日本語の能力は大変なものです。 その能力をもって、あの外国人はこう ( 間違って) 言ったが、おそら く本当はこう言いたいのだろう、などと相手の足りないところを補って それを理解する能力を持っているのです。 これが可能なのは日本語のネイティブだからであって、この変な日本 語を日本語のネイティブである日本人は理解できないが、ノンネイティブである外国人は理解できるというようなことはまず絶対にないはずで す。その逆つまり、変な日本語を外国人は理解できないが日本人は (補っ て)理解できるということはあっても。 「ネイティブに通じる英語 」 というのは商業上のキャッチフレースで しかありません。「ネイティブに通じる英語 」かどうか気にする必要 はまったくありません。「通じる英語 」なら相手が誰であっても通じます し、ネイティブなら一層通じるのです。