決まりきった会話表現

  英語は基本的に単語を並べれば通じますが中にはこれが当てはまらない ケースがあります。日常的な会話で使われる決まりきった表現で、これ については、「単語を並べる」という理論はあてはまりません。丸ごと 暗記する必要があります。以下の5種類があります。

 

A.覚えないと話せないし、言われた時に意味がわからない。

B.覚えないと話せないが、言われた時に意味はわかる。

C.他の表現を使って話せるが、言われた時に意味がわからない。

D. 他の表現を使って話せるし、言われた時に意味がわかる。

E. スラング(俗語)

 

 

詳しく説明しましょう。

 

 

A.覚えないと話せないし、言われた時に意味がわからない It serves him right! (あいつめ)いい気味だ!(himの部分は herになったり、youになったり変わってきます) この表現を知らないで、こういう事を言おうとしても無理です。また、 これを聞いたときに理解することもできません。

 

B.覚えないと話せないが、言われた時に意味はわかる That was close! (もう少しだった!)例えば、もう少しで車にぶ つかりそうな時にこう言います。この表現も知らなくては口から出てこ ないでしょう。ただ、言われた場合には意味はわかると思います。clo seは「近い」という意味なので、事故に近かった(もう少しで事故だっ た)という意味なんだろうと察しがつくはずです。

 

C.覚えなくても、他の表現を使えるが、言われた時に意味がわからない Where were we? 話の途中で中断したとか、話がわき道にそれた 時に「あれ?何の話だったけ?」という意味で使います。これを知らな くても、こちらがそう言いたければ、What were we talking about? などで表現できます。ところが相手に使われると「どこにいた?ここ にいたじゃないか?」などと勘違いする可能性が大です。

 

D. 覚えなくても、他の表現を使えるし、言われた時にも意味がわかる。 Good for you! は「 よく、やった!」という意味です。これを知ら なくても You did a good job. と言えばいいですし、相手がそう言っ た場合も意味はわかるはずです。

 

E. スラング(俗語) スラングにも「よく使われる、一部の人しか使わない」など程度の差 はありますが、基本的にこういうものは覚えるべきではありません。逆 に考えればわかるでしょう。日本語を学んでいる外国人に日本語の俗語 (例えば、うぜー)を教えるでしょうか?まともな人ならば、そういう 汚い言葉ではなく、きれいな美しい日本語を教えるはずです。 私自身、日本人としてきれいな日本語を心がけているので、こうい う汚い言葉は絶対に使いませんし、またそういう言葉を外国人に教える ことも絶対にしません。それと同様に、外国語を学ぶ場合もきれいな表 現を学びたいと思うのです。ですから、スラングは一切シャットアウト しています。英語を覚えるのは国際親善のためでしょうから、それを台 無しにしかねない、スラングは覚えてはいけないと考えます。 「ネイティブはこう言う」類の本には、スラングや標準的でない会 話表現(一部のネイティブしか使わない)が含まれている場合がありま すので、そういう本を活用する際は注意が必要です。スラングは覚える べきではありませんし、また標準的でない会話表現も覚えて使うような ことは絶対にやめるべきです。 標準的でない会話表現を使ってはいけないというのは相手に通じない 可能性が高いからです。通じないのを覚えてもしかたありません。「

 

ネ イティブが使う口語表現」なのに通じないはずはないだろう!」と言う かもしれませんが、2つ根拠があります。

 

①すべてのネイティブが知っているわけではない Nice to meet you.なら100パーセント通じます。ところが、アメ リカ人しか使わない、イギリス人しか使わない、アメリカのある地域の 人しか使わない、イギリスのある階級の人しかわからない標準的ではな い英語表現となると、すべてのネイティブに通じるわけではありません。 ですから、口語表現を覚える際にはなるべく、英でも米でも通じる「国 際的に通じる会話表現」を覚えるほうが望ましいのです。

 

②相手がノンネイティブの場合 これも上とほぼ同じことです。ネイティブによっては通じない場合 がある標準的でない英語表現がノンネイティブに通じるわけはありませ ん。「にへーでーびる」って知っていますか?これは沖縄の言葉で「あ りがとう」を意味しますが、東京にいる時にこの言葉を私は使いません。 通じませんから。 つまり、沖縄でしか使われない日本語なので、それをそれ以外の場 所では使わないのです。ましてやこれを「日本語として」外国人に教え ることなどするはずがありません。

 

日本語のネイティブである日本人ですら、知らない日本語を外国人に教えるなんてことをし たら、大変なことになるでしょう。2年間沖縄に住んで日本語教室に通っ て覚えた日本語が実は沖縄語で、沖縄以外ではまったく通じなかったな んてことにでもなれば、笑い話では済みませんから。 少々脱線しましたが、このように英語の口語表現を覚える際には国際 的に通用する表現を覚えたほうが望ましいのです。厳密な分類は難しく、 また分類したとしても使われる頻度によって重要性が違ってきます。