音読について

音読について

 

  音読がスピーキングの訓練としていいということが言われますが、本 当でしょうか?答えは「あるレベルまでは必須だがそのレベルを超えれ ば効果はない」です。どういうことでしょうか? まず、私自身の例で言えば中学の3年間学校の教科書を使って音読を したことがその後のスピーキング力の構築に非常に役立ちました。 日本語でもそうであるように英語でも音声上の決まりが二種類ありま す。

 

一つは単語の発音、アクセントで、これについてはいったん発音記 号を覚えてしまえば、あとは単語を覚える際にその意味だけではなく、 発音、アクセントもしっかりと覚えれば、これでもう十分です。 goo などで音声をいちいち聞かなくても、そのとおりに発音できるは ずです。私はこれをずっと実行してきて、スピーキングするときにはほ ぼ発音記号どおりに発音するので誰からも「発音がいい」と言われます。 もうひとつは、センテンスをどう発音するかで、これは主にイントネー ションやストレス(強く発音するかしないか)が問題になってきます。 例えば I can play baseball.の場合、アイ キャン プレイ ベイスボール のように大きな字の部分を強く発音すると相当おかしな英語だという ことになります。このセンテンスでもっとも重要な情報はベイスボール なのでここを強く発音するべきなのです。 何語でもそうだと思いますが、大事な箇所を強く発音するという原則 は覚えておいてほしいと思います。 他にもこういう原則がいくつかあるのですが、それらをすべて覚える ことはあまり有用ではありません。頭だけでわかっていても、実際にそ う発音できるとは限らないからです。それよりも、実際の音声を聞いて、 そのとおりに発音してみる練習を実施したほうがはるかに身につきます。 こういう訓練を繰り返しているうちにイントネーションや強勢につい てのルールが自然にわかってくるのです。 発音が上手くなるために外国へいく必要はまったくありません。発 音記号を覚えて、模範的な音声をまねて音読をある期間実行すれば、そ れがすべてです。

 

次に、本格的なスピーキングの訓練としての音読の効果ですが、すで に言いましたように、はなはだ不十分なものと言わざるを得ません。音 読でセンテンスを話す際のイントネーションや強勢について「 発声の仕方 」を学ぶことはできても、自由自在に話す練習にはならないのです。 もうすでに述べたように「英語を話す」というのは ①適切な単語を頭の中から引っ張り出して ②それを英語の語順で(音声として)並べる ことに他なりません。音読では(シャドウイングでもそうですが)あく まで他の人が用意したセンテンスをオウム返しするだけであり、自分で 考えて①と②を行うわけではないので「話す」練習にはほとんどならないのです。 繰り返しますが、音読は初心者が「英語の発声の仕方」を学ぶ上では 欠かせないのですが、「話す」練習にはなりません。「話す」練習としては 相手を見つけるか、一人でセルフスピーキングをするかどちらかです。