フィリピン人、オーストラリア人の嘆き

フィリピン人、オーストラリア人の嘆き いつだったか、ジャパンタイムズの読書の欄で非常に共感できる投書 がありました。フィリピン出身で東京在住の匿名の方です。その方が学 生だったか社会人だったかは定かではありませんが、日本で英会話講師 の求人に応募しても採用されないというのです。理由は出身国に対する 差別と、英語になまりがあるという事です。 このなまりがあるということについて考えてみましょう。確かにフィ リピンの人の英語はアメリカ人ともイギリス人ともオージーともニュー ジーとも異なっています。名古屋にはフィリピン人が結構いて、私も話し たことがあるのでわかります。 しかし、発音を除けば彼らの英語はネイティブなのです。アメリカの 曲を聴いて完全に理解できますし(スラングは別でしょうけど)、一切 のよどみがなくなめらかに話します。 その投書の方は大学を出て、もちろん滑らかな英語を話すそうですが、 日本では講師として採用されないというのです。これはひとえに英語学 校の生徒がそういう講師を好まないということなのでしょう。これに関 連してある英会話学校に勤めるオーストラリア出身の女性講師から聞いた話があります。 その方が言うにはオーストラリア風の英語では生徒がいやがるので、 アメリカ人かイギリス人風に話すように強制されるそうなのです。オー ストラリア人は当然ながらオーストラリア人としての誇りがあるわけで、 まったく納得いかないのだが雇ってもらうためには仕方がないのでそう していると話していました。 国際英語という観点からは本来、相手の英語が自分の好きな英語では ないなどと選り好みしていられないはずなので、逆にリスニングを鍛え るチャンスのはずですが、そう考える日本人は少ないようです。先ほど のフィリピン人のケースにしても「純正でない」あるいは「なまりのあ る」英語に接していると移ってしまうのでないかと考える人が多いよう です。 しかし、すでに説明したようにスピーキングは伝染しないのでそうい うことはありえないのです。いやむしろ伝染したほうがいいと思われま す。なぜならフィリピン人、オーストラリア人の英語は日本人のそれを はるかに凌駕するのですから。